大家さんは入居者と契約書を取り交わします。
その契約に基づいて、物件を貸し、対価として賃料を得ています。
ただし、普通借家契約は裁判になると大家さんが不利になることが多く、その効力には大いに疑問があります。
ですが、だからと言って、いい加減に取り交わしてよいものでもありません。
(裁判で負けたくない大家さんには、定期借家契約をお勧めします)
この契約書ですが、きちんと読んでいますか?
私は、管理会社さんに物件の管理をお願いしていますので、申し込みの審査が通ると、
「契約書に印鑑をください。」
といって、契約書を持ってきます。
この契約書に私が押印することによって契約が成立するわけですが、実は私、すんなり押印したことがほとんどありません。
私もとっとと契約したいのですが、押印できないような契約書が来るので、その度に書き直しをお願いしているのです。
どのような点が引っかかるかというと、以下のようなものです。
1.保証人との続柄がウソ
夫婦で会社経営をしており、借入金の関係で入籍していないご夫婦がいました。
別に、内縁関係だからだめ、という気はないのですが、契約書の保証人欄を見ると、奥様の弟の名前が書いてあり、続柄に「義弟」と書いてありました。
入籍していないわけですから、「義弟」ではありません。
2.居住年数がウソ
地方出身で9年前に上京して来た人ですが、現住所が実家になっており、27才なのに居住年数が27年になっています。
本来であれば、9年前に上京してきているわけですから、住所はこちらで、居住年数は9年以下のはずです。
3.住民票がウソ
長年フリーターだった青年が就職し、親元から独立することになりました。
これから定職に就くタイミングであったため、保証会社は現在無職と判断し、その結果、審査を通過できなかったのです。
そこで、お母さんを契約者にし、本人を居住者にしたのですが、届いた契約書を見ると、本人の住民票が添付されていました。
契約者はお母さんですから、ウソになります。
とまあ、こんな感じでいろいろあります。
驚くようなミスですが、これらはすべて実際に起こったことです。
これらすべてが、保障会社の審査を通って、管理会社で書類を確認してから私のところにきています。
つまり、二重でチェックをしているわけですが、それでも、こういったミスがあるのです。
私は契約書を一字一句、すべて読み込むので、このようなミスに気が付くことができます。
例に挙げたものは大したものではありませんが、これが重大なミスであった場合どうなるのでしょうか?
例えば、定期借家契約の不備によって、契約が法律の旧規定に基づくものとされてしまうことがあります。
本来2年で終了予定の契約が不当に長引き、不良入居者を退去させられなくなる事態も発生します。
そのようなことになるのがいやなので、きちんと読んでいるのです。
管理会社さんが言うには、9割以上の大家さんが何も読まずに押印しているそうです。
すみからすみまで読んでいるのは、私ぐらいだと言われてしまいました(笑)
当たり前ですが、契約書はとても大切なものです。
このブログを読んでいるあなたは、きちんと読み込んでから押印してくださいね。
でないと、大変なことになるかもしれませんよ。